残地を残す開発計画で注意すべきポイント|既存建築物がある場合の注意点

土地の一部を開発区域として利用し、残りの土地を「残地」として残す計画は珍しくありません。

例えば、敷地の一部を分譲地として開発し、既存住宅が建っている部分を残すケースなどがあります。

しかし、残地に既存建築物を残す場合は、開発許可や条例の対象となるかどうかだけではなく、残地側の建築基準法上の適合性についても確認が必要です。

計画内容によっては、既存建築物をそのまま残せない場合や、追加資料の提出を求められる場合があります。

今回は、残地を残して事業計画を行う際に注意すべきポイントについて解説します。

⇒関連記事:【残地の残し方】開発逃れで500㎡以下にする場合の注意点

① 敷地設定の変更による建蔽率・容積率に注意

既存建築物の敷地が、今回の申請区域を含めた一体の敷地として設定されている場合は注意が必要です。

開発区域として一部を分けることで、既存建築物が建っている残地の敷地面積が小さくなります。

その結果、残地側で改めて建蔽率・容積率を確認すると、

  • 建蔽率オーバー
  • 容積率オーバー

となる可能性があります。

特に、昔から建っている住宅などでは、現在の敷地設定と異なる状態になっている場合もあるため、残地として分割した後も既存建築物が適法に存続できるか確認する必要があります。

② 残す建築物の確認申請・検査済証の有無に注意

残地として既存建築物を残す場合、その建物が建築基準法上適法に建築されたものか確認が必要になります。

しかし、古い建築物の場合、

  • 確認申請を提出した記録がない
  • 確認申請は提出されているが、検査済証の記録がない

といったケースがあります。

このような場合、行政庁から建築基準法第12条第5項に基づく報告を求められることがあります。

建築基準法第12条第5項とは、特定行政庁が建築物の安全性や適法性を確認するため、建築物の所有者や関係者に対して必要な報告を求めることができる制度です。

具体的には、

  • 建築時期
  • 建築確認の状況
  • 増築や用途変更の履歴
  • 現在の建築物の状況

などについて資料を提出し、建築基準法への適合状況を確認します。

開発計画では、既存建築物を残すことを前提に進めていたものの、確認申請や検査済証の記録が確認できず、追加調査が必要になる場合があります。

そのため、事前相談の段階で既存建築物の確認済証・検査済証の有無を確認しておくことが重要です。

③ カーポートや倉庫などを残す場合は用途地域に注意

既存住宅を撤去し、カーポートや倉庫、物置などだけを残したいという計画もあります。

しかし、用途地域によっては注意が必要です。

建築物には「主たる建築物に付属する建築物」として認められるものがあります。

例えば、自動車車庫などは住宅の付属建築物として認められる場合がありますが、住宅を撤去して車庫だけを残す場合は、単独の建築物として用途地域上建築できないケースがあります。

特に第一・二種低層住居専用地域などでは、単独の自動車車庫などが制限される場合があります。

「住宅は解体するが、カーポートだけ残したい」という計画では、残す建築物が単独で存続可能か確認が必要です。

④ 開発道路・位置指定道路を計画する場合は道路斜線制限に注意

申請区域内に開発道路や位置指定道路を計画する場合は、既存建築物への影響にも注意が必要です。

道路を新設することで、既存建築物に対する道路斜線制限の条件が変わる場合があります。

既存建築物のすぐ近くに道路を配置すると、道路斜線制限に適合しなくなり、既存不適格建築物となる可能性があります。

このような状態になる計画では、開発許可や道路位置指定が認められない場合もあります。

道路計画を検討する際は、新設する道路だけではなく、既存建築物への影響まで確認することが重要です。

まとめ|残地は「余った土地」ではなく計画の一部として検討する

残地を残す開発計画では、開発区域だけを確認するのではなく、残地側に残る建築物や工作物についても確認が必要です。

特に注意すべきポイントは以下のとおりです。

  • 敷地分割後の建蔽率・容積率
  • 既存建築物の確認申請・検査済証の有無
  • 建築基準法第12条第5項による報告の必要性
  • カーポートや倉庫などを残す場合の用途地域制限
  • 開発道路や位置指定道路による道路斜線制限

残地の残し方によっては、当初予定していた計画が変更になる場合があります。

事業計画の早い段階で、申請区域だけではなく残地を含めた全体計画として検討することが、スムーズな手続きにつながります。