行政との協議でよくある勘違い5選~「事前相談で問題ないと言われたから大丈夫」は本当か?~
開発許可の相談を受けていると、
「事前相談で問題ないと言われたので、この計画で進められますよね?」
という質問をよく受けます。
しかし実際の開発許可手続きは、多くの方が想像しているよりも複雑です。
特に、行政との協議内容や審査のタイミングについて誤解されているケースが少なくありません。
今回は、実務でよく見かける「行政との協議に関する勘違い」を5つご紹介します。
目次
① 事前相談でOK=計画が承認された、ではない
最も多い勘違いです。
多くの自治体における開発許可の事前相談では、
- 開発許可が必要か
- どの法令が適用されるか
- 手続きの流れはどうなるか
といった「許可要件の整理」が主な目的となります。
つまり、
事前相談の段階では、計画内容そのものの詳細審査まで行われていないことがほとんどです。
「開発許可が必要です」
「この手続きで進めてください」
と言われたとしても、
それは
「この計画で許可できます」
という意味ではありません。
② 32条協議で全ての技術審査が終わる、ではない
これも非常によくある誤解です。
都市計画法第32条協議は、
道路・下水道・水道などの公共施設管理者との協議
が本来の目的です。
そのため、
- 道路後退や整備
- 排水放流先
- 下水道接続
- 水道引込み
- 公園や公共施設
などについては詳細な協議が行われますが、
擁壁の構造や安定性については、この段階で審査しない自治体も少なくありません。
もちろん自治体によっては事前に確認してくれるケースもありますが、全国的に見ると必ずしも一般的ではありません。
そのため、
「32条協議が終わったから造成計画も問題ない」
とは限らないのです。
③ まちづくり条例協議が終わったから安心、ではない
32条協議と並行して、
- 駐車場
- 駐輪場
- 緑化
- ごみ集積所
- 景観
などを対象としたまちづくり条例協議が行われる自治体も多くあります。
ここで承認を受けると、一見すると計画全体が固まったように感じます。
しかし実際には、
擁壁の審査はまだこれから
というケースも珍しくありません。
④ 擁壁の審査は本申請で初めて行われることもある
全ての協議が完了すると、32条協議の締結を行い、いよいよ開発許可申請(29条申請)へ進みます。
ここで初めて、
- 擁壁構造
- 地盤条件
- 安定計算
- 土質試験結果
- 排水計画との整合
などの本格的な技術審査が始まる自治体もあります。
その結果、
「擁壁位置を変更してください」
「構造形式を変更してください」
「追加検討が必要です」
といった指摘を受けることがあります。
⑤ 一度の協議で終わるとは限らない
本申請で擁壁配置が変わると、影響は擁壁だけでは済みません。
例えば、
- 駐車場台数
- 緑化面積
- ごみ集積所位置
- 通路幅員
- 排水計画
などにも変更が生じる可能性があります。
すると、
すでに終わったはずのまちづくり条例協議を再度やり直さなければならないケースもあります。
自治体によっては、
条例協議が完了していないと29条申請の許可を出せない
という運用もあります。
結果として、
「協議が終わったと思ったら別の協議が発生する」
ということも珍しくありません。
まとめ
開発許可の手続きは、
事前相談 → 32条協議 及び条例協議 → 29条申請
と進んでいきますが、
各段階で確認している内容は異なります。
特に、
- 事前相談でOKだった
- 32条協議が終わった
- 条例協議が終わった
という理由だけで、
計画全体が承認されたと考えるのは危険です。
実際には、本申請段階で初めて技術的な指摘を受けることもあります。
開発案件でスケジュールを組む際は、
「協議が終われば許可が下りる」
ではなく、
「本申請後の指摘対応期間も含めて計画する」
ことが重要だと感じています。

