近隣説明ってなにをするの?|まちづくり条例・紛争条例・盛土規制法の実務
開発や造成、建築の相談を受けていると、
「近隣説明って、結局なにをするんですか?」
と聞かれることがよくあります。
実はこの近隣説明、
- まちづくり条例の中で定められているもの
- 紛争防止条例などで単独に規定されているもの
- 盛土規制法など、個別法で義務付けられているもの
など、自治体や法令によってパターンがさまざまです。
この記事では、実務でよくある「近隣説明って実際なにをやるのか?」を、ざっくり全体像でまとめます。
目次
近隣説明が必要になる代表的なケース
近隣説明が必要になるのは、だいたい次のような場面です。
- まちづくり条例に基づく開発行為・建築行為
- 近隣紛争防止条例の対象行為
- 盛土規制法に基づく盛土・切土・土砂搬入
- 自治体が要綱で近隣周知を求めているケース
「建物がないから関係ない」「工事が小さいから大丈夫」と思っていると、 あとから『近隣説明やってください』と言われて事業が止まることも珍しくありません。
まずやるのは標識設置と周知
多くの制度で最初に求められるのが、標識の設置です。
- 事業計画の概要
- 事業者名・連絡先
- 工事内容・期間
などを記載した標識を、 道路から見える位置に設置します。
これは「知らないうちに工事が始まった」というトラブルを防ぐためのものです。
説明方法は2パターン
近隣説明の方法は、だいたい次のどちらか(または両方)です。
① 説明会の開催
- 自治会館
- 公民館
- 現地近くの集会所
などで、対象者を集めて一括説明します。
② 個別訪問による説明
- 近隣一軒一軒を訪問
- 説明資料を使って個別に説明
自治体によっては、
- 不在の場合は2~3回訪問が必要
- 昼・夜・休日など時間帯を変える必要あり
といったルールが決まっていることもあります。
近隣説明の「範囲」はどう決まる?
説明対象となる範囲も、市町村ごとに細かく決まっています。
よくある基準は、
- 事業区域の境界から 10m~15m以内
- 日影の影響を受ける範囲
- 騒音・振動・通行に影響が出ると想定される範囲
など。
この範囲に含まれる
- 土地所有者
- 建物所有者
- 建物占有者(借主・入居者など)
すべてが説明対象になります。
アパート・マンションがあると一気に大変
近隣に
- アパート
- マンション
があると、説明対象者は一気に増えます。
- オーナーだけでなく
- 各部屋の入居者全員
が対象になることもあり、
「え、こんなに説明する人いるの…?」
となりがちです。
いちばん大変なのは「リスト作成」と「資料作成」
実務で時間を食うのがここです。
説明対象者リストの作成
- 公図・登記簿や住宅地図で所有者確認
- 現地調査で居住実態の確認
- 表札・郵便受けの確認
これを漏れなく作る必要があります。
説明資料の作成
- 事業概要
- 配置図・立面図
- 工事期間
- 影響(騒音・日影・通行など)
慣れていないと、
これだけで1週間以上かかる
ということも普通にあります。
説明後は「要望の取りまとめ」と報告
説明が終わったら終わり、ではありません。
- 出た質問
- 要望・意見
- 苦情
を整理して、
- 事業者へ報告
- 内容によっては計画に反映
- 反映しない場合は理由を整理
その結果を、 行政へ正式に報告します。
近隣がまとまらないと、ここで一気に時間を食う
近隣説明でいちばん怖いのがここです。
- 意見がまとまらない
- 強い反対が出る
- 追加説明を求められる
こうなると、 申請そのものが進まないこともあります。
近隣説明は、
「形式的にやればいい手続き」
ではなく、
「事業スケジュールを左右する重要工程」
だと思っておいた方が安全です。
まとめ|近隣説明は“準備8割”
近隣説明は、
- 対象範囲の確認
- 説明対象者の洗い出し
- 資料作成
- 説明方法の選択
- 事後報告
と、見えない作業が山ほどあります。
制度を理解していないと、 それだけで1週間~それ以上ロスすることも。
当事務所では、開発許可やまちづくり条例に関する手続きを行う場合、近隣説明業務を含めて一括で対応しております。
なお、建築計画の内容によっては、近隣説明業務のみをお引き受けすることも可能です。
近隣説明でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

