農家住宅・分家住宅の用途変更と建替え・売買― 実務ベースでのポイント解説 ―
市街化調整区域における農家住宅・分家住宅は、
「用途変更できるのか?」「建替えできるのか?」「売買後に再建築できるのか?」
という相談が非常に多い分野です。
ただし結論から言うと、
市町村ごとに難易度が大きく異なります。
同じ神奈川県内でも、基準に形式的に合致すれば比較的スムーズに進む自治体もあれば、
かなり慎重な審査になるケースもあります。
目次
1.用途変更 → 建替え → 売買 → 買主の再建築の流れ
実務上よくあるパターンは以下のとおり。
- 農家住宅・分家住宅を一般住宅へ用途変更
- 売却
- 買主が将来建替え
● 用途変更が認められれば
原則として「一般住宅」となり、
買主も通常の住宅として再建築可能になります。
ただし、
- 都市計画法上の整理
- 接道
- 排水・雨水処理
- 既存不適格部分
などの再確認は必須です。
2.神奈川県が窓口のエリアは難易度が上がる傾向
神奈川県内では、開発許可の窓口が
- 政令市(横浜市・川崎市・相模原市など)
- 中核市(横須賀市など)
- 県(それ以外の市町村)
で分かれています。
県が窓口となる主な市町村例:
- 平塚市
- 秦野市
- 伊勢原市
- 南足柄市
- 寒川町
- 大磯町
- 二宮町
- 中井町
- 大井町
- 松田町
- 山北町
- 開成町
- 箱根町
- 真鶴町
- 湯河原町
- 清川村
(※最新の所管区分は必ず確認を)
これらのエリアでは、
神奈川県の審査基準で判断されます。
3.神奈川県は「提案基準20」で処理
神奈川県では、農家住宅・分家住宅の用途変更は
提案基準20で処理されるのが一般的です。
ポイントは2つ
① 基準に形式的に合致すること
② 「やむを得ない理由」が明確であること
特に②が難関。
4.「遠方に住んでいる」「家を持っている」では弱い
実務感覚として、
- 相続人が遠方に居住
- すでに持ち家がある
- 空き家だから売りたい
この程度では弱いことが多いです。
神奈川県は、
本当にこの建物を残す必要があるのか?
解体してもいいのではないか?
という視点で見てきます。
比較的通る可能性がある事情例
- 経済的困窮
- 空き家リスク、建物を住宅として売却しなければならない理由が明白
5.建物状況によっては再整備が必要
用途変更が通るかどうかだけではありません。
現況建物が
- 浄化槽未整備
- 排水経路が不明確
- 雨水放流先が不適切
- 増築未整理
などの場合、
是正・再整備を求められるケースがあります。
場合によっては、
- 排水計画図
- 雨水処理図
- 構造の整理
まで必要になることも。
ここで費用が読めなくなることが実務上のリスクです。
6.建替え・売買・買主の再建築
用途変更後であれば、
原則として一般住宅扱いとなり、
- 所有者の建替え
- 売却
- 買主の再建築
が可能になります。
ただし、
- 接道条件
- 建ぺい率・容積率
- 既存宅地要件
- 43条の整理
などは個別検討必須。
7.実務は「ストーリー設計」
農家住宅・分家住宅の用途変更は、
条文に合うかどうかだけではなく
行政が納得する理由が本当にあるのか
が鍵です。
・誰が
・なぜ
・どうしても
・この建物を住宅として残す必要があるのか
これを整理しないまま相談に行くと、
難易度が一気に上がります。
まとめ
✔ 市町村ごとに難易度は大きく違う
✔ 神奈川県窓口エリアは比較的慎重審査
✔ 提案基準20は「やむを得ない理由」が核心
✔ 建物状況次第で追加整備が必要
✔ 売買・再建築まで見据えた設計が重要
ケースは一件一件まったく違います。
机上の一般論ではなく、
現況・相続関係・建物状態・資金状況まで整理し、
最善のルートを組み立てるのが実務です。
当事務所では、
「どうすれば通るか」ではなく、
「どう組み立てれば現実的に成立するか」まで考えます。
案件ごとに、本気でいきます。

