市街化調整区域の「既存宅地」とは?建築できるケースを解説
市街化調整区域では、原則として建物を建てることはできません。
しかし例外として、
**線引き前から宅地であった土地(既存宅地)**については、
一定条件のもとで建築が認められる場合があります。
今回は、既存宅地の考え方と注意点を解説します。
なお内容は、神奈川県の開発許可運用手引きを前提に整理しています。
目次
既存宅地とは
既存宅地とは簡単に言うと、
市街化調整区域に区分(線引き)される前から宅地として利用されていた土地
を指します。
神奈川県では、昭和45年6月10日となる地域が多く、
その時点で宅地利用されていたかが重要になります。
最も重要なポイント:途中で用途を変えていないこと
既存宅地でよく誤解されるのがここです。
たとえ線引き前に宅地だったとしても、
- 畑にした
- 駐車場にした
- 資材置場にした
- 空き地として長期間放置した
など、宅地以外の用途に変更した履歴があると認められない可能性があります。
つまり、
✅ 昔宅地だった
だけでは足りず、
✅ 継続して宅地として利用されていた
ことが重要です。
既存宅地を証明するための資料
既存宅地の判断では、客観資料が必要になります。
代表的な資料は次のとおりです。
- 登記事項証明書(地目履歴)
- 固定資産税課税台帳(昭和46年1月1日)
- 農地転用許可証明書
- 航空写真
- 建築確認台帳記載証明
- 古い公図
- 建築確認申請書類
複数資料を組み合わせて証明するのが一般的です。
資料が揃わないケースも多く、
ここは専門的な整理が必要になる部分です。
50戸(又は100戸)連たん制度
「線引き前から宅地であったことの証明」ができた場合でも、それだけで建築が認められるわけではありません。
多くの自治体では、いわゆる50戸連たん(場合によっては100戸連たん)要件を満たしていることも併せて求められます。
これは、対象地の周辺に一定数以上の建築物が連続して存在し、「既に集落としての土地利用が形成されている区域」であることを確認するための基準です。
具体的な戸数基準や判定方法(距離の取り方・対象建築物の範囲など)は自治体ごとに異なるため、事前の調査と役所確認が非常に重要になります。
つまり、
- 線引き前から宅地であった証明ができる
- 50戸連たん(または100戸連たん)が成立している
この両方を満たしてはじめて、既存宅地としての取扱いが可能になるケースが一般的です。
共同住宅を建てる場合の注意点
既存宅地であれば何でも建てられるわけではありません。
特に、
- アパート
- 共同住宅
- 長屋
などを計画する場合は、
- 面積要件
- 接道要件
- 周辺環境
- 公共施設負担
など追加要件が求められることがあります。
市町村によっては認められないケースもあるため、
事前確認が非常に重要です。
実務でよくある誤解
よくある相談として、
「昔から家があったから建てられますよね?」
というものがあります。
しかし実際には、
- 証明資料が不足している
- 用途履歴に問題がある
- 制度要件を満たしていない
などで建築できないケースも少なくありません。
当事務所での対応について
当事務所では、
- 既存宅地該当性の調査
- 資料収集・整理
- 行政事前相談
- 許可申請手続き
まで対応しております。
調整区域は初期判断が非常に重要です。
「建てられるか分からない」という段階でも問題ありませんので、
お気軽にご相談ください。
まとめ
市街化調整区域の既存宅地は
✅ 線引き前から宅地であること
✅ 用途が継続していること
✅ 客観資料で証明できること
が重要になります。
また、
- 50戸連たん制度
- 共同住宅の要件
など別の制度も関係するため、
専門的な判断が必要な分野です。
計画前の確認が、最も重要なポイントです。
当事務所では、住宅地図・航空写真・現地調査等を用いて連たん要件の成立可否も含めた事前判断を行っておりますので、該当する可能性がある土地についてはお気軽にご相談ください。

