農地転用における「農地区分」とは?
▶ 農地法3条・4条・5条の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
(農地法3条・4条・5条の違いとは?|行政書士が実務目線で解説)
農地転用の可否を判断するうえで、最も重要なポイントの一つが「農地区分」です。
「農地転用ができるかどうか」は、
- 市街化区域か調整区域か
👉 市街化区域であれば【許可】は不要で届出のみ。 - 何条申請(4条・5条)か
といった点とあわせて、その農地がどの区分に該当するかで大きく左右されます。
この記事では、農地転用の実務で必ず押さえておきたい 農地区分の種類・考え方・転用の可否について、できるだけ分かりやすく解説します。
農地区分はなぜ重要?
農地法では、農地を次のように考えています。
「できるだけ良い農地は守り、やむを得ない農地のみ転用を認める」
そのため、農地は立地や周辺状況によってランク分けされており、 ランクが高いほど転用は厳しく、低いほど転用しやすいという仕組みです。
※ 農地区分の判定は、原則として市街化調整区域内の農地が対象です。
市街化区域内の農地は、農地法上は第3種農地に該当するものとして扱われるのが原則で、 実務上、届出のみで完結します。
一方、市街化調整区域では農地区分によって許可の可否が大きく分かれるため、 事前に正確な区分判断が不可欠となります。
農地区分は大きく5種類(市街化調整区域)
農地法上の農地区分は、主に次の5つです。
- 農用地区域内農地(いわゆる青地)
- 甲種農地
- 第1種農地
- 第2種農地
- 第3種農地
それぞれ順番に見ていきましょう。
① 農用地区域内農地(最も厳しい)
概要
- 市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地
- 国として特に守るべき農地
転用の可否
- 原則:転用不可
- 例外は、農業用施設(農業倉庫など)や、やむを得ない公益性の高い事業のみ
実務上のポイント
- まず「農用地区域からの除外(農振除外)」が必要
- 農振除外が通らなければ、農地転用申請以前の問題
👉 実務ではここで止まるケースが非常に多いです。
② 甲種農地(かなり厳しい)
概要
- 市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地(8年以内)等、特に良好な営農条件を備えている農地
- 基盤整備済み等、将来にわたって農業利用が見込まれる農地
転用の可否
- 原則:転用不可
- 例外的に、公共性・必要性が極めて高い場合のみ可
実務上のポイント
- 個人住宅や店舗目的では、ほぼ不可
- 行政協議の初期段階でNGが出やすい
③ 第1種農地(厳しい)
概要
- 10ヘクタール以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等良好な営農条件を備えている農地
- 甲種農地ほどではないが、保全優先度が高い
転用の可否
- 原則:転用不可
- ただし、以下のような場合は例外あり
- 農業用施設
- 公益性の高い事業
- 周辺に代替地がないことが明らかな場合
実務上のポイント
- 「代替性の有無」が強くチェックされる
- なぜこの場所でなければならないのか、説明が重要
④ 第2種農地(やや緩い)
概要
- 鉄道の駅が500メートル以内にある等、市街地化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地
- 周辺に住宅・店舗・道路などが混在
転用の可否
- 原則:許可の可能性あり
- ただし、周辺により適した非農地がある場合は不可
実務上のポイント
- 立地条件・周辺状況の説明がカギ
- 図面や写真で「市街地化」を示すと有利
⑤ 第3種農地(最も転用しやすい)
概要
- 鉄道の駅が300メートル以内にある等、市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地
- 鉄道駅・役所・病院・上下水道などが整備済み
転用の可否
- 原則:許可されやすい
実務上のポイント
- きちんとした理由付けさえあれば比較的転用しやすい
- 形式的な要件確認が中心
農地区分と転用可否のまとめ
| 農地区分 | 転用のしやすさ |
|---|---|
| 農用地区域内農地 | ほぼ不可 |
| 甲種農地 | ほぼ不可 |
| 第1種農地 | 非常に厳しい |
| 第2種農地 | 条件付きで可 |
| 第3種農地 | 比較的容易 |
よくある誤解
①「調整区域=農地転用できない?」
→ ❌ 誤りです。
調整区域でも、
- 第2種農地
- 第3種農地
に該当すれば、許可の可能性は十分にあります。
②農業振興地域内はすべて農地転用できない?
答えは「いいえ」です。
農業振興地域内の農地でも、
すべてが農地転用できないわけではありません。
ポイントは、その農地が
「農用地区域内(いわゆる青地)」か
「農用地区域外(いわゆる白地)」かです。
- 農用地区域内農地(いわゆる青地)
→ 原則として農地転用はできません。
まず農振除外が必要になります。 - 農用地区域外農地(いわゆる白地)
→ 第2種農地や第3種農地であれば農地転用できる可能性があります。
ただし、甲種農地や第1種農地に該当する場合は不許可となります。
つまり、
「農業振興地域内だから一律に転用不可」ではなく、
「農用地区域に入っているかどうか」が判断の分かれ目です。
農地転用の可否は、
立地・農地区分・周辺状況を含めた事前調査が重要です。
農地区分の判断はプロに任せるのが安全
農地区分は、
- 地形
- 周辺土地利用
- インフラ状況
- 行政の運用
などを総合的に見て判断されます。
自己判断で進めると、後から「そもそも無理な農地だった」 というケースも少なくありません。
農地転用でお悩みの方へ
「この農地、転用できるの?」 「何条申請になるのか分からない」 「そもそも農地区分が分からない」
そんなときは、早い段階で専門家に相談するのが近道です。
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