開発許可申請に該当するかの確認作業
開発許可って何?

開発許可制度って結局何なの?といったお客様の声をよく聞きます。
以下神奈川県の開発許可申請の手引きから抜粋です
【開発許可制度とは主に都市計画区域において、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更(開発行為)を許可の対象にして、一定の水準を保たせるとともに、市街化調整区域内にあっては一
定のものを除き、開発行為及び建築物を建築すること(建築行為)をも規制して、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ろうとするもの】
では実際にどのようなケースに許可が必要なのか、これらの中身を簡単に、そしてわかりやすく行政書士がご説明させて頂きます。
土地の区画形質の変更とは
まず初めに土地の区画形質の変更とはいったい何なのかをご説明します。
区画の変更、形の変更、質の変更と、それぞれ3つの項目があります。
これら1つでも該当する項目がある場合、開発行為となります。
それでは順番に見ていきましょう。

事業区域の中に新しく道路を計画する場合や、元々あった公共施設(道路、水路など)を廃止する場合に該当する項目です。
ここでいう【区画】とは建築敷地(建築確認申請上の敷地設定)も含まれますが、2つの建築敷地を1つに合体させる、又は1つを2つに分けて建物を建てる場合は区画の変更にあたるでしょうか?
答えは区画の変更にあたりません。これらは【単なる形式的な区画の分割または統合】といって、開発行為に該当しないものとして取り扱うということになっています。ただし全面道路が2項道路の場合や事業区域が3000㎡以上の場合、一部の市町村では区画の変更に該当する可能性がありますのでご注意下さい。

造成工事の規模に関する項目です。これらは現況地盤面を造成した結果どうなるかによって形の変更にあたるかを判断します。
・1mを超える盛土をする場合
・2mを超える切土をする場合
・一体の切盛土で2mを超える場合
・30㎝を超える切土、盛土の範囲が500㎡を超える場合(ただし、市街化調整区域では30㎝を超える切盛土が1箇所でもあれば形の変更に該当します)
これらに該当する場合は形の変更に該当し、開発行為となります。(建築物の基礎を作る為の切土や、出入口を作る為の切盛土など例外規定もあります)

土地の地目に関する項目です。
開発事業区域に登記簿謄本の地目が宅地以外の地目(田・畑・山林・雑種地など)が含まれている場合、質の変更にあたり開発行為に該当します。(地目が宅地であっても5年以内に地目変更登記をしている場合や、現在農地や山林として利用されている場合は除く)
ただし、宅地以外の地目であった場合でも質の変更にあたらない場合もございますのでご紹介いたします。
・現に建築物が存する土地
・固定資産課税台帳の現況地目が、5年以上前から「宅地」である土地で、現在、農地や山林と
して利用されていない土地
・従前、建築物の敷地として利用されていた土地で、現在、農地や山林として利用されていない
土地(5年以上前に建築物を除去した土地は除く。)
・従前開発許可を取得したことがある土地や、土地区画整理法によって換地処分を受けている土地など
開発許可申請とは

神奈川県 都市計画法に基づく開発許可関係事務の手引より引用
上の表は神奈川県の開発許可申請に必要な規模を表している表です。
ここでは一般的な住居系・事業系建築物のお話をさせて頂きます。
市街化区域では事業区域が500㎡以上、市街化調整区域では面積の規定無しに建築物を建てる為の土地の区画形質の変更(開発行為)をする場合は許可が必要であるということになります。
また、その他の非線引都市計画地域や都市計画区域外にもそれぞれ面積の規定があります。
該当する土地がどの区域になるかを事前にチェックしておきましょう。

神奈川県 都市計画法に基づく開発許可関係事務の手引より引用
結論
ここまで見てきた内容をまとめますと、市街化区域の場合、開発事業区域の面積が500㎡未満の場合であればそもそも開発許可は不要であり、500㎡以上であっても土地の区画形質の変更にあたらない場合は開発許可は不要ということになります。
なお、市街化調整区域では面積による除外規定はありませんので土地の区画形質の変更にあたる場合は開発許可が必要となります。(そもそも市街化調整区域では通常の建築行為はできません。こちらはいずれまたご説明します。)
開発行為に該当すると、とにかくお金がかかります。設計費用、手続き費用、測量・登記費用。そして一番お金がかかるのが開発工事費用です。通常の建築工事では整備しなくてもよい項目も数多くあります。
これらの出費を抑えるために、開発工事にかけない土地利用(開発逃れ)の方法もあります。
次回はそれらについて記事を書いてみたいと思います。
ではまた!
行政書士 阿部 勇太

